NIPT(新型出生前診断)を受けようと思い、病院やクリニックを調べていると認可施設と無認可施設の2種類の病院やクリニックがあることに気づきます。認可と無認可の違いは何でしょうか。
"無認可"って響きはちょっと怪しいですよね。NIPTは検査対象が非常にデリケートな事柄なので、しっかりと自分が納得した施設で受けたいところです。本記事では認可施設と無認可施設の違いについて比較・解説します。
"認可"はいったいどこから認可を受けているのでしょうか。答えは日本医学会です。日本医学会が出している指針に沿ってNIPTを行っている施設が認可施設となります。
ちなみにですが、私は結果的に無認施設のヒロクリニック東京駅前院で検査を受けました!
目次
【結論】認可施設と無認可施設のどちらで受けるべきか
詳細な比較を行うと、記事が長くなってしまうので最初に結論から語ります。
認可施設で受けた方が良い人と無認可施設で受けた方が良い人の条件をそれぞれ紹介します。皆さんはどちらに当てはまるでしょうか。
認可施設でNIPTを受けるべき人
・NIPTをしっかりと理解し、安心して受けたい
・陽性時にどういう心理状態になるか不安
・対象染色体は13,18,21番で十分
・検査日のスケジュールを調整しやすい
まず前提条件になってしまいますが、NIPTを認可施設で受ける条件を満たしていることです。年齢が35歳未満だったり、染色体異常リスクが低い場合はそもそも認可施設でNIPTを受けることができません。
また、認可施設の強みはなんと言っても遺伝学のプロである遺伝カウンセラーのカウンセリングを受けられることです。NIPTとは何か、染色体異常は何をもたらすのかをしっかりと理解して検査を受けたい、陽性時の自分の心理状態が不安という方は認可施設で受けるべきです。
一方で認可施設のデメリットは対象染色体が3種類のみであることと、検査が平日しか受けられないことにあります。このため、対象となる染色体は3種類で十分であり、かつ平日であっても検査を受けることが可能という方は認可施設でNIPTを受けるべきです。
無認可施設でNIPTを受けるべき人
・NIPTを自力で調べ理解する自信がある
・平日夜か休日しか検査日を受けられない
・対象染色体を可能な限り広げたい
・性別を知りたい
・検査費用を抑えたい
年齢が35歳未満で遺伝的に染色体異常のリスクが低い場合は、認可施設でNIPTを受けられないので必然的に無認可施設でNIPTを受けることになります。
また、遺伝カウンセラーがいるクリニックは少ないです。このため、自分で情報収集をして勉強する必要があります。これをしない誤った理解や判断をするリスクがあります。
特にカウンセラー不在は陽性時のサポートが弱いです。陽性の結果の時点で少なからずショックを受けているはずなので、そういうときに誤った判断をしないように自分や家族で情報を集め、正しい判断をする準備をすることが求められます。
他の無認可施設で検査を受けるメリットは平日夜間や休日でも検査を受けられることや、検査対象の染色体の幅が広いこと、性別を早い段階で知れることにあります。このため、気軽に幅広い情報を知りたいという方にも無認可施設での検査をオススメします。
加えて、無認可施設は検査対象の染色体を絞れば費用を認可施設よりも抑えることが可能です。費用を抑えた検査をしたいという方は無認可施設がオススメです。
認可施設と無認可施設の違い
続いて、認可施設と無認可施設の違いを詳細に解説します。まずは主な違いのサマリー版を表にまとめました。
比較項目 | 認可施設 | 無認可施設 |
---|---|---|
検査を受ける条件 | 有り | 無し |
専門科 | 産婦人科 臨床遺伝専門 | クリニックにより様々 ※産婦人科・遺伝専門医は少ない |
検査項目 | 13トリソミー 18トリソミー 21トリソミー | 13トリソミー 18トリソミー 21トリソミー 全染色体 性染色体 性別 |
検査費用 | 20万円前後 | 10~25万円前後 ※検査項目で前後 |
検査受付時間 | 平日かつ夕方まで | 土日祝・夜間も可 |
来院回数 | 複数回 | 最低1回 |
遺伝カウンセリング | 必須 | 施設による ※ほとんど実施無し |
検査を受ける条件
認可施設は検査を受けるための前提条件を厳しく制限されていますが、無認可施設は基本的に検査を受けるための条件は設定されていません。
認可施設での検査を受ける条件
認可施設の場合、NIPTを受けたいと思っても誰でも受けることができるわけではありません。前提条件として、下記を満たす必要があります。
・分娩予定日に35歳以上
・過去に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの子どもを出産・分娩した
・胎児が21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを持つ可能性の上昇を指摘された
高齢出産や遺伝的もしくは医学的に遺伝子異常を起こす可能性が高い妊婦さんしか受けることができない条件となっています。
この条件を満たしており、NIPTを受ける場合でも血液を採取して結果を待つ・・という簡単な流れではありません。検査を受けるには追加でやらなければいけないことがあります。
・遺伝カウンセリングを夫婦2人で複数回受ける
・かかりつけ産婦人科院からの紹介状
命の選択ということに関わる検査なので、しっかりとNIPTを理解するために遺伝カウンセラーによるカウンセリングを夫婦2人で受けることが求められます。認可施設は平日のみの対応なので、夫婦2人で仕事との調整が必要となります。
また、分娩予定でない病院での検査となる際はかかりつけの産婦人科院からの紹介状が必要となります。
無認可施設での検査を受ける条件
無認可施設では検査を受ける条件はありません。強いて言うならば、NIPT検査が可能となる妊娠10週目以降ということくらいです。
このため、年齢的に認可施設ではNIPTを受けられないという方は必然的に無認可施設で受けることになります。
専門科
認可施設では産婦人科や遺伝専門医がいたりと、NIPT検査自体や遺伝子異常への理解が深い医療従事者に対応をしてもらうことができます。
一方、無認可施設では産婦人科を専門に取り扱っている無認可施設は美容整形や内科が専門等、産婦人科や遺伝学と離れた分野を取り扱っている医院が多いです。(一定数、産婦人科を取り扱っている医院もあります。)
検査項目
認可施設は13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの3種類の染色体のみが検査対象となっています。
一方で無認可施設は上記の3種類の染色体だけでなく、対象とする染色体をオプションで増やすことができます。22種類全ての染色体を対象とする全染色体検査や性染色体も検査することができます。
また、性別判定が可能なことも特徴です。通常18~20週以降で性別判定が可能ですが、NIPTでは10週時点で性別判定も可能です。
検査費用
認可施設の場合、病院よって異なりますが大よそ20万円が相場になっています。認可施設では必須となっている遺伝カウンセリングがこの費用に含まれているかどうかは病院によって異なります。
無認可施設は費用の幅が広いです。どこまでオプションをつけるかでも大きく費用は異なりますが、全ての検査項目を対象とした場合、30万円近くになるクリニックも。一方で、認可施設と同じ13、18、21トリソミーだけを対象とした検査であれば10万円程度で検査可能なクリニックも存在します。
検査受付時間
認可施設は大学病院のような大病院が多く、検査ができる時間も平日の日中~夕方までと時間が限られています。このため、仕事がある方はなかなか時間の融通をつけづらくなっています。
無認可施設は平日だけでなく土日に加えて、夜まで検査を受け付けているクリニックがほとんどです。このため、検査は非常に受けやすいです。
来院回数
認可施設では、検査結果の通知は来院した上で対面で聞くことになります。このため、検査日の来院にプラスして最低でも2日は来院しなければなりません。
無認可施設は結果通知をメールで行っているクリニックも多く、来院は検査日の1回のみで完了します。
遺伝カウンセリング
認可施設では遺伝カウンセリングが必須となっています。これは妻一人だけでなく夫婦二人での参加が必須です。先述の通り、来院可能な日は平日の夕方までと限られているので、検査を受ける際のある意味ハードルになる項目です。
しかし、二人で遺伝学のプロの説明を聞くことにより、NIPTや遺伝子異常についての正しい知識を身につけた上で検査に臨むことができるメリットがあります。また、仮に検査結果が陽性となった際も遺伝カウンセラーに相談できるというのは大きな安心に繋がります。
一方で無認可施設では、カウンセリング自体はあったとしても遺伝カウンセラーによるカウンセリングはほとんどありません。なので、自分でしっかりとNIPTについて情報を収集することが求められます。また、陽性時の対応についてもカウンセラーがいないと手薄に感じ、不安が増すことになります。
認可施設・無認可施設のメリット・デメリット
かなり長くなってしまいました。最後にNIPTを受けるにあたっての認可施設と無認可施設のメリットとデメリットを簡潔にまとめます。
認可施設のメリット・デメリット
認可施設のメリットは一言でいうと「安心」、これに尽きます。遺伝カウンセラーによるカウンセリングでNIPT自体の理解を深めたり、陽性時にもしっかりと相談ができるというのは何にも増して心強いです。
一方でデメリットはNIPTを受けるためのハードルの高さです。年齢制限もそうですし、平日日中しか受けられない、夫婦同席が必要、紹介状が必要と言った検査を受けるためにクリアしなければならない条件が結構あります。
無認可施設のメリット・デメリット
無認可施設のメリットは一言で言うと「手軽さ」です。検査自体は、自分の空いている時間に予約して、来院して説明を聞いて、採血して、結果をメールで待つだけです。体験談でも書いていますが、予約から結果通知まで実にアッサリとしたものです。
一方で、仮に陽性となった際のサポートの弱さ、これがデメリットになります。このサポートの弱さを補うためには、検査を受ける自分自身がしっかりとNIPTや染色体異常について調べ、理解し、判断する力が求められます。
コメント