電気通信主任技術者試験の合格通知が来ました。今回の記事では法規の勉強方法をご紹介したいと思います。
前提知識が全く無い私でも0から独学で勉強をして合格ができた方法なので、これから受験しようという皆さんの参考になるかと思います。
知識0からのスタート
転職先にて電気通信主任技術者の資格を取るように指示を受けました。転職前に電気関係の知識はかじったことはありますが、通信系とは程遠いところにいました。
このため、前提となる知識が0です。今の勤務先の新人君の方が新人教育を受けている分、私よりもよっぽど知識がありそうです。悲しいですが。。
短期間で独学の勉強でも合格可能なのか?
そんな前提知識0の私が独学で勉強して合格まで辿りついた勉強方法をお伝えします。まず重要なポイントを2つご紹介します。
・勉強期間は2ヶ月あれば余裕
独学でも合格可能
高額な授業料を払ってまで講習を受ける必要は全くありません。独学合格のキーとなるのは過去問題集です。
この後でも触れますが、過去問を5年分×2回の10回分やると気づくことがあります。それは出題傾向はぶれない、ということです。このため、繰り返し繰り返し過去問題集をやることが合格への最重要ポイントとなります。
勉強期間は2ヶ月あれば余裕
日々の勉強時間をどれだけ確保できるかにもよりますが、1日1時間取れるか取れないかのレベルであっても、2ヶ月あれば余裕でお釣りが来るという感覚です。
法規だけに絞るのならば1ヶ月でも間に合います。100%暗記の科目となるので、まとまった時間がとりにくい場合でも隙間時間を利用しましょう。空いた時間に1問ずつでも覚えていけば合格はすぐそこです。
私が実践した独学勉強方法
では、具体的に私が合格のために実践した勉強方法をご紹介しましょう。
②まずは過去問を8回分やってみる
③過去問で出題された条文をテキストでチェック
④チェックした条文の読み込みと過去問の繰り返し
⑤残った2回分の過去問で仕上げ
テキスト1冊、過去問1冊を購入
勉強の基本的な進め方は過去問をこなしながら、頻出の条文をテキストで確認する。これを過去問を完璧に解けるまで繰り返すという流れになります。必要となるのはテキストと過去問集が1冊ずつのみです。他に何もいりません。
そもそも電気通信主任技術者試験の対策本は電験や電気工事士の資格と比較すると市販されているテキストや問題集は極めて少ないです。
オススメの過去問題集
そんな状態なので購入の選択肢も少ないわけで、過去問題集はお馴染みの黄色い表紙のあの本しかないので迷わずこちらを購入です。
オススメのテキスト
テキストはNTTラーニングシステムズから出版されているテキストがオススメです。赤い表紙のあの本です。
メルカリを覗くと中古がたまに出回っていますが、最新の2版ではなく旧版の1版が出回っていることが多いのでご注意下さい。法規は条例の改訂があるので、最新版の方が良いです。
このテキストは法規以外に設備管理の科目でも必須だと私は思っているので1冊持っていて間違いないです。このテキストは法規の各条例が整理して記載されていることに加え、A4サイズと大きめのサイズで読みやすいという良さもあります。
法規のテキストはどうしても条文ばかりで字が多くなるので、見易さが地味に大切です。
この他に動物の絵が表紙に描いてあるテキストも一般的ですが、私は使いませんでした。理由は条文の整理の仕方が個人的にとっつきにくかったことと、B5という本のサイズ感が小さく見にくいと感じたためです。
繰り返しですが、NTTの赤本は法規以外にも設備管理で重宝するので買っておいて間違いないと思います。その赤本で法規も十分戦えるので、わざわざ法規用に1冊別冊を買うのはちょっと勿体無いとも感じます。ただ、総仕上げ用の確認や持ち歩きを重視する場合はこちらの購入も全然アリです。
まずは過去問を8回分やってみる
黄色い表紙の過去問題集には過去5年の計10回分の過去問題が掲載されています。まずはこちらの8回分を一通り解いてみましょう。そして、問題の傾向と自分のレベルを知ることが第一歩です。
間違っても最初にテキストの条文を一通り読もうとしないで下さい。とても大切なことなので2回言います。最初にテキストの条文を一通り読もうとしないで下さい。
試験に出ない条項も数多くあるので、時間が非常に勿体無いです。とにかく大切なことは問題の傾向を知ることです。
過去問をやって大きく2つのことに気づかされます。
・問題は大まかに4パターンに分類される
過去問の数をこなせば、こなすほど特定の条文ばかりが出題対象になっているのに気づきます。そして、その限られた条文の中から出題される問題は大まかに4パターンに分けることができます。
(1)条文の目的の理解を確認する
(2)条文の主語の理解を確認する
(3)条文の抜け・漏れ・誤りを確認する
(4)条文内の具体的な数値を確認する
問題の出し方は穴埋めだったり、正しいものを選ぶパターンだったり、過ったものを選ぶパターンだったりと色々ですが、とにかく確認される知識は上記の4つです。各パターンを簡単に解説していきます。
条文の目的の理解
目的の理解は何故その条文が定められているかの根幹の理解を問うてきます。条文の目的はそれっぽい理由が書かれていても、条文に書かれていない文言であれば誤りの扱いとなりますので、しっかりと暗記しないといけません。
過去問で出たパターンをご紹介します。下記の条文が正しいか否かという問題です。
有線電気通信法は、有線電気通信設備の設置及び使用を規律し、有線電気通信に関する秩序を確立することによって電気通信の健全な発展に寄与することを目的とする。
出題文の誤りを正したのが下の正答文の赤文字箇所になります。
有線電気通信法は、有線電気通信設備の設置及び使用を規律し、有線電気通信に関する秩序を確立することによって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
はっきり言って、「電気通信の健全な発展」も「公共の福祉の増進」も大きく意味は変わりません。しかし、条文で「公共の福祉の増進」と書かれている以上、これが正解なのです。理屈じゃないので、出題されるポイントを見定めて丸暗記するしかありません。
条文の主語の理解
2パターン目は条文の主語が誰(=どこ)かを問うてきます。こちらも例えば、知事なのか公安委員会なのか総務省なのか、と言った具合です。
同じく、過去問で出たパターンをご紹介します。下記の条文が正しいか否かという問題です。
都道府県知事、総務大臣及び経済産業大臣は、アクセス制御機能を有する特定電子計算機の不正アクセス行為からの防御に資するため、毎年少なくとも1回不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を公表するものとする
国家公安委員会は、アクセス制御機能を有する特定電子計算機の不正アクセス行為からの防御に資するため、毎年少なくとも1回不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況を公表するものとする
こちらは先ほど紹介した「目的」を問う問題と異なり、「主語」の誰が?を問う問題なので事実として白黒はっきりした答えが対象になっています。
どちらにしろ丸暗記しなければいけない点は変わりませんが、主語の方が目的に比べて暗記しやすいと思います。
条文の抜け・漏れ・誤りの確認
③はちょっと分かりにくいですが、条文の一部が誤っていたり、抜けていたりするパターンです。ここまでで挙げた「目的」と「主語」以外の部分が対象となっています。
過去問で出たパターンをご紹介します。下記の条文が正しいか否かという問題です。
緊急通信とは、鉄道又は自動車の通行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務相令で定める方法により行う無線通信をいう
緊急通信の理解を問うている問題で、出題文は誤っています。出題文の誤りを正したのが下の正答文の赤文字箇所になります。
安全通信とは、鉄道又は自動車の通行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務相令で定める方法により行う無線通信をいう
説明文自体が「緊急通信」ではなく「安全通信」を説明していた、というパターンです。これは安全通信と緊急通信の概要を理解してれば解ける問題です。
この手のパターンは丸暗記が必要な部分もありますが、概要の理解である程度解ける部分でもあります。
具体的な数値の確認
最後はシンプルに数字を問われるパターンです。通信ケーブル同士の離隔距離だとか、絶縁の抵抗値といった数字そのものを穴埋めもしくは正誤を確認するパターンで解いてきます。
過去問で出たパターンをご紹介します。下記の条文が正しいか否かという問題です。
通信回線の線路の電圧は、90ボルト以上110ボルト以下でなければならない。ただし、電線としてケーブルのみを使用するとき、又は人体に危害を及ぼし、もしくは物件に損傷を与えるおそれがないときは、この限りではない
出題文の誤りを正したのが下の正答文の赤文字箇所になります。
通信回線の線路の電圧は、100ボルト以下でなければならない。ただし、電線としてケーブルのみを使用するとき、又は人体に危害を及ぼし、もしくは物件に損傷を与えるおそれがないときは、この限りではない
このパターンは数字なので覚えてるかいないかの勝負です。過去問から出題されるパターンを掴んで、ポイントを絞って暗記するようにしましょう。
過去問で出てきた条文をテキストでチェック
過去問を8回分やったら、次は過去問集の解説を見ながら出題された条文が何法の何条か、その条文の中でどこの部分が出題されたかをチェックしましょう。
私は条文の項番と条文の中で実際に出題された箇所それぞれを蛍光マーカーで塗りつぶしました。
これにより、どの条文が出題されたか、条文の中でどの部分が出題対象になっているかが一目瞭然です。マーキングにより、ただのテキストが頻出の条文と出題傾向がわかる魔法のアイテムに様変わりします。
チェックした条文の読み込みと過去問の繰り返し
テキストの蛍光マーカー部分の確認と過去問の実施を繰り返します。既に実施した8回分の過去問をどんどん解いていきましょう。最低でも8割、できれば9割に到達するまではこのサイクルを回すことをオススメします。
過去問で8割取れていれば本番でも合格ラインの6割はおそらく達成できるはずです。
残った2回分の過去問で仕上げ
過去8回分の過去問で9割を取れるようになったら最後の仕上げです。残っている2回分の過去問を解いてみましょう。
これで7割に行けばほぼ安心です。逆に点数が伸び悩む方はまだやりこみが足りません。テキストの蛍光マーカー部分の読み込みと過去問のやりこみを繰り返しましょう。
電気通信主任技術者試験-法規- 独学勉強方法のまとめ
さらっとまとめるつもりでしたが、かなり長くなってしまいました。とにかく言えることは、法規は出題傾向が過去問から大きくぶれることは無いです。だからこそ、ポイントを絞って勉強すれば最短距離で効率よく合格にたどり着けます。
大切なことは過去問題集を中心に勉強することです。極端な話、過去問を丸暗記して満点が取れるようになれば、絶対に合格できます。過去に例の無いイレギュラーなパターンの出題は2割にも満たないので。
この記事がこれから法規の勉強をされる皆さんの一助になれば幸いです。
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