前回の記事でご紹介したとおり、我々夫婦は出生前診断を受けることに決めました。一口に出生前診断と言ってもいくつか種類があるのですが、その中でもNIPT(新型出生前診断)を受けることに決めました。今回はいくつかある出生前診断のメリット・デメリットを比較しながら、NIPTを受けることにした理由についてまとめています。
目次
出生前診断とは
妊娠中に胎児の状態を調べる検査が出生前診断です。母親の検査を行うことで、胎児の状態や疾患を調べることができます。多くの場合は21トリソミー、すなわちダウン症のリスクを検査することが主目的となっているのが現状かと思います。
一口に出生前診断と言っても様々な検査があり、受けられる妊娠週数や費用、流産リスクが異なります。大きく分けると下記の表の通りとなり、非確定検査と確定検査の2つに分けられます。次項以降からは各検査をざっと紹介していきます。
項目 | 非確定検査 | 確定検査 | |||
---|---|---|---|---|---|
検査名 | NIPT | コンバインド検査 | クアトロテスト | 絨毛検査 | 羊水検査 |
実施時期 | 10週以降 | 11~13週 | 15~18週 | 11~14週 | 15~18週 |
精度 | 99% | 83% | 80% | 100% | 100% |
費用目安 | 10~20万円 | 3~4万円 | 2万円 | 10~20万円 | 10~20万円 |
流産リスク | 無し | 無し | 無し | 有り | 有り |
非確定検査(非侵略的検査)
非確定検査の特徴は大きく2つです
・胎児の疾患の可能性を評価する
1番の特徴でありメリットは、超音波や血液の検査のみであるため、流産リスクが無いことです。後述する確定検査にはどうしても流産リスクが出てきてしまうので躊躇される方も多いと思います。その点、非確定検査は流産リスクを回避できるため、気持ち的にとても受けやすい検査と言えます。
ただし、あくまでも疾患の可能性を評価するところまでの検査です。疾患の可能性が高そうor低そうと言うレベルの評価であり、陽性の結果が出ても偽陽性の可能性があるのが、この非確定検査のデメリットと言えます。
NIPT検査(新型出生前診断)
NIPTは血液検査のみの検査で、後述するコンバインド検査やクアトロマーカー検査と異なり、血中のタンパク質ではなくDNA断片を解析する検査です。
母体の血液中には母親由来と胎児由来のDNAが混在しており、その中から胎児由来のDNAを解析することでダウン症の検査を行います。
NIPT検査は10週目以降に受けることができる検査であり、費用は10~20万円です。感度も99%と非常に高くなっているのが特徴です。このため、結果は「陽性」「陰性」のいずれかで明確に返ってきます。この分かりやすさは魅力です。特に陰性の結果の場合は的中率は99.999%なので偽陰性の可能性が限りなく低い検査です。
コンバインド検査
コンバインド検査はその名の通り「組み合わせる」検査で、具体的には超音波検査と採血検査を組み合わせた検査です。
超音波によるNT測定と採血によるタンパク成分の値の検査を行います。血液検査で対象となるタンパク質はPAPP-AとhCGであり、この2つの数値から染色体異常の検査を行います。一方、超音波によるNT検査では胎児の首の後ろのむくみのチェックを行います。
コンバインド検査を受けられる時期は妊娠11~13週頃であり、費用は3~4万円です。本検査における21トリソミーの感度は83%であり、逆に言うと17%の確率で陽性を見逃してしまうことになります。また、検査結果は確率での表示となります。これは、例えばダウン症の確率が10分の1とか100分の1のような表現となります。
クアトロテスト
クアトロテストは血液検査のみの検査で、血液中の4つのタンパク質を検査します。
対象となるタンパク質はAFP、hcg、uE3、inhibinAです。この数値を元に染色体異常の検査を行います。
クアトロテストを受けられる時期は15~18週頃であり、費用は2万円程度です。本検査における21トリソミーの感度は80%であり、20%の確率で陽性を見逃してしまう検査です。検査結果はコンバインド検査と同様に確率での表示となります。これは、例えばダウン症の確率が10分の1とか100分の1のような表現となります。
確定検査(侵略的検査)
確定検査の特徴は非確定検査の逆となりますが、下記の2つです。
・退治の疾患の診断を確定させる
確定検査は流産リスクの生じる検査なので、あまり軽い気持ちで受けることはできません。
考え方として、非確定検査で障害を持つ可能性が高いという結果が得られた際に、本当にそうなのかを確定させるために行う検査の位置づけとなります。現在においては、出生前検査としていきなり確定検査を行うケースはまず無いそうです。
羊水検査
羊水検査は子宮内の羊水を採取する検査です。羊水内には胎児に由来する細胞が存在しているため、その細胞から染色体の形や数を検査することができます。
羊水検査を受けられるのは15週~16週以降で、費用は10~20万円程度です。羊水の採取に当たっては母親のお腹に針をさして羊水を採取する必要があるため、破水や子宮内感染などの合併症を引き起こす可能性があります。それに加え、300分の1の割合で流産や死産を招くリスクもあります。
絨毛検査
絨毛検査は将来胎盤となる絨毛細胞を採取する検査です。絨毛細胞から染色体の形や数を検査することができます。
絨毛検査を受けられるのは11~14週頃で、費用は10~20万円程度です。絨毛細胞の採取に当たっては、母親のお腹に針を刺して採取する必要があるため、羊水検査と同様に破水や子宮内感染などの合併症を引き起こす可能性があります。さらに流産や死産を招くリスクは羊水検査よりも高く、100分の1の割合となる検査です。
NIPTを受けることにした4つの理由
結論として、出生前検査としてNIPT(新型出生前検査)を受けることにしました。我々夫婦がNIPTに決めた理由は下記の4つのメリットあるからです。
・早い時期でも検査可能
・検査の精度が高い
・無認可施設でも検査可能
メリット1:胎児へのリスクが無い
胎児へのリスクが無いことが1番大きいメリットです。羊水検査などの確定検査においては流産・死産のリスクがそれなりに高い確率で付きまといます。胎児に影響を与えずにできる検査であることが、出生前検査を受ける前提条件でした。
メリット2:早い時期でも検査可能
NIPTは妊娠10週から受けることが可能であり、コンバインド検査やクアトロテストと比較して早期に検査できることがメリットです。仮に陽性の結果が出て、仮にその子を諦めるとなった時に少しでも早く結論を出した方が母体への影響を最小限に抑えることができます。また、諦めないか諦めるかを悩む時間も長く取ることができます
メリット3:検査の精度が高い
NIPTの検査は精度が高いです。特に陰性の感度については99.999%という高さです。一方、コンバインド検査やクアトロテストでは20%近い確率で誤検知してしまうことが気になります。はっきり言ってそれだと安心するための検査の体を成していないと感じます。
また、コンバインド検査とクアトロテストの確率で出る結果が分かりにくいです。例えばダウン症の確率が30分の1という結果が出ても捉え方が難しいです。30分の1と聞くと通常の妊婦さんよりは確率がかなり高いけど、普段の生活で30分の1と聞くとまず当たらないと感じてしまうのではないでしょうか。
この分かりにくさと比較して、明快に陽性/陰性の結果が出るNIPTに魅力を感じました。
メリット4:無認可施設でも検査可能
無認可の施設でもNIPTを受けることができます。都内では結構なクリニックでNIPTを実施しています。認可の施設の方が安心ではあるのですが、予約が取りにくかったり検査にあたり紹介状が必要だったりと制約が多いです。
無認可ということに不安もありますが、土日祝や平日の遅い時間でもNIPTを受けられることは共働きの我々には大きなメリットに感じられました。
NIPTのデメリット
一方でデメリットもあります。NIPTの検査費用は高いです。安いところでも10万円越え、カウンセリング等のケアが手厚いクリニックでは20万円程度の費用がかかります。これはクアトロテストの5倍~10倍の費用になるので正直なところ、結構負担です。
本記事のまとめ
出生前診断の比較と我々夫婦が出生前診断としてNIPTを受けることに決めた4つの理由を紹介しました。次回の記事では、NIPTを受ける病院の選び方をご紹介したいと思います。
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